甘い毒を君に



「これ、手作りだろ」

「そう」

重いかなと思った。
ムヒョは面倒くさいのとか、そういうの嫌いだし。
だけど、やりたかったのだ。
市販の、山積みにされている大衆向けのじゃ無く、一人に向けたものがよかった。
そこまで考えると、やっぱり作るしかなくて。
でも、作ったことが無いから悪戦苦闘しながら。

「ウイスキーボンボンとは、また小洒落たモン作ったな」

「お前、見かけによらずこういうの好きだろ」

ムヒョはくつくつと笑いながら一つ口にほおりこんだ。
作ったものとしては、感想が気になるわけで、その行動をじっと見つめた。
自分ではうまくいったと思う。
思う、というのは、あまり味見が出来なかったから。
アルコール度が高めのものを使用したせいで、何個も食べることが出来なかったのだ。

「…あの阿呆が作ったのよりは劣るな」

「ロージーと比べるなよ…」

感想は、ロージー勝利。
期待していた分、やけに深く刺さった。
別に争っていた訳ではないが、なんだか悔しい。
落ち込む俺を見かねてか、口角を微妙に上げながら人差し指で額を小突かれた。
まるで、お前らしくないと言われているようで、内心笑ってしまった。
ムヒョでも心配してくれることもあるんだと、珍しい事してくれると。
俺はソファーに座っているムヒョを跨いで膝立ちをした。
そして自分から唇を合わせる。
ムヒョの下唇と上唇を、交互に吸った。

「阿呆が帰ってくるまであと1時間も無いぞ」

「知ってる」

唇を離して最初に喋ったのはムヒョ。
会話を終了させたのは俺。
チョコレートの誘惑、感染者は君。





 


2008.02.13

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