一番二番




最近は暖かいし、今日は丁度良く非番だ。
というか真選組全体が、お上の気まぐれで休みなだけだ。
まあ、たまには良い所も有ったもんだ。


煙草を吸おうとしたら丁度良く無くなっていた。
…山崎を走らせるか。


自室から庭に出て辺りを見渡すが、ミントンをしている姿は見えない。
いつもなら所構わず素振りしてるというのに。
珍しいな…。



「おい、山崎は何処行った?」



その辺で歩いていた奴を捕まえて聞いた。



「山崎なら向こうの縁側で沖田隊長と話してましたよ。」

「総悟と?」



俺はそれを聞くと木陰の掛かる縁側に向かった。
その場所は、総悟のお気に入り昼寝スポットとなっている。
普段は他人が邪魔をするのを拒むため、皆極力行かないようにしていた…筈。
筈と言うのは、俺自身は大してその事を気にしてなかったから。
寧ろ、その縁側は総悟ではなく俺の一息つく場所だった。


縁側に近づくにつれて、話し声が聞こえてきた。
さっき聞いた通り総悟と山崎の声が聞こえる。
曲がったら正面、という所で立ち止まった。



「それじゃあ、土方さんの何処が良かったんですか?」

「別にないなぁ。」



どうやら俺の話をしているらしい。
ちょっとまて、俺の良い所は無いのか?



「ただ、俺はあの人の二番目には居たいのさぁ。」

「え?一番じゃなくてですか?」



山崎がそう言うと、総悟は目を閉じて下を向いた。
その顔はあまりにも白く、透けるんじゃないかと思った。



「一番は近藤さん。俺もあの人も一番は同じなんだぜぃ。」

「嘘。沖田さんの一番は土方さんでしょ。」



間髪を入れずに言った。
別に怒っている訳ではなく、少し呆れた言い方。
総悟は目を開けて少し困った顔をした。



「…二番。だって、近藤さんが居なけりゃ会えてなかったんだ。」

「沖田さん…」

「それに、思っている事が一緒とかよくねぇ?」



思わず赤くなる顔を右手で抑えた。
結局其れは総悟が俺を一番に思ってくれているという事で。


(やべえ…顔が緩む。)


立ち聞きを知られたのは数分後。
さっき場所を聞いた奴が俺の名前を呼んだからで…。

 

 

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2005年03月29日加筆
2007年11月25日加筆