神田君の心が僕に向いている事に気付いたのはいつ頃だろうか。 なんて、本当は覚えているのに忘れたフリをしてみる。 あれは、ラビが教団に来てすぐだった。 「ユウはコムイが好きなんさ」 ポーカーフェイスでそう告げたのは、ブックマンの後継ぎ。 きっとこの子は僕が神田君を好きなことを知っている。 だから 「でも渡さない」 なんて事を僕に言い放った。 あれから二年、僕はラビと神田君が夜に交える事を知っている。 どれだけ行為を重ねようと、神田君の視線が僕から離れる事は無かった。 手を伸ばせば届きそうなのに、伸ばす事が出来ないのは やっぱり臆病だからだろうか。 今の関係を崩せる銃を持つ僕は 二年前のあの時から、愛しい人を人質に捕られたままで セーフティすら外せていない。